英語など外国語を学ぶとき,いきなりスクールに通うというのも勇気がいります。何せ高額なため,「自分にとって不要だったらどうしよう」と躊躇ってしまいますよね。
そこで,オススメなのが実際に英語を学習した人がどんなきっかけで覚えたか,どのような方法を使ったかを知る方法です。これは十人十色なので,自分にとっての向き不向きもわかります。
今回は,英語など外国語を学ぶ方法がよくわかる本をまとめて紹介します。
※個人的な指向もあり,仕事関連の人が多くなっています。
海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる/三木雄信
ソフトバンクで孫正義社長の秘書として働いていた三木雄信さんの著作『海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる』です。海外出張(Yahoo!のミーティング)に同行して,まったく英語ができなかったところから英語の勉強をはじめたといいます。
何より心強かったのは,実は孫社長の英語もそれほど流暢ではなかったことです。
外国人との交渉や会議の場にたびたび同席して気づいたのは,孫社長の英語は聞き取りやすいということでした。ネイティブの英語がまったく聞き取れない私がそう感じるということは,かなり日本語なまりがあるということです。
注意して聞いていると,使う表現も限られているし,話すスピードもネイティブと比べるとゆっくりです。それでも海外企業の大物たちを相手に一歩も引くことなく交渉し,最後は必ず相手を説得していました。
これらの経験を通じて,私はビジネス英語とは次のようなものだと理解しました。
①流暢に話せる必要はない
②限られた表現を覚えればいいこれなら英語が苦手な自分でもできるかもしれない——。そう考えた私は,英語の勉強を始めることにしました。
三木雄信さんの学習方法は,教材を1つに絞り(映画『ウォール街』のテープを選んでいました),それを徹底的に繰り返すというものです。
現在,三木雄信さんは,英語が話せるようになった方法を元に,コーチング英会話スクール「トライズ」を運営しています(ライザップの英会話版を想像するとわかりやすいと思います)。
ビル・ゲイツとやり合うために仕方なく英語を練習しました。/成毛眞
マイクロソフト株式会社(日本法人)の代表取締役社長を務めた成毛眞さんの著書です。個人的に,みんなと違う逆張り思考をさせたらナンバーワンだと思うお方です(笑)。
本書(2016年)の前に『日本人の9割に英語はいらない』(2011年)という本も書かれています。つまるところ,英語を使う仕事に就かなければ覚えても意味ないよということです。
どうしたらムダな努力をしなくて済むか,何は捨ててもよくて何は避けては通れないのか,また,覚えなくてはならない単語は,どういう順に覚えていくのが最も効率的なのかなど。コツコツと努力を重ねることだけは避けたかったので,「コツコツ」とは対極にある「手抜き」の道を探りました。要するに,行動に出る前に戦略を練り,あとは淡々とそれを実行するだけにしたのです。
そんな成毛眞さんですが,こうは言っても,やはり努力をされています。実際,この「淡々とそれを実行するだけ」というのが,普通の人にとってはハードルが高かったりします(←よく見かけます)。
成毛眞さんは,「英語=ダイエット説」として,「いきなり過激に始めると必ずリバウンドする」といいます。そのため,家の中やパーソナルなツールを英語化する方法をおすすめしています。
- テレビ:副音声にする
- Podcast:NHK WORLD JAPAN News
- Google音声入力
- Siri
1と2は,英語の音声に触れるというものです。そして,3と4はアウトプットです。僕も普段の生活では,スマホ2台,タブレットを中国語,韓国語,英語などに設定して,音声入力をしながら発音を確認するようにしています(本当に今の時代は便利になったと感じます)。
村上式シンプル英語勉強法/村上憲郎
前述の成毛眞さんの著作の中で「コツコツやる」の例にあげられていたのが,グーグルの日本法人の社長だった村上憲郎さんの著作『村上式シンプル英語勉強法』です。
コツコツは,向き不向きでもあるので,自分に合った方法を選べば問題ありません。事実,僕は何事もコツコツが苦ではないので,どちらかというとコツコツ系の方法が合っていたりします。
といっても,村上憲郎さんもひたすらにコツコツするというわけではなく,英語を「読む」「単語を覚える」「聴く」「書く」「話す」の5つにわけ,それぞれの「やるべきこと」をまとめたといいます。
ちなみにそれぞれの量は,以下のように記されています。
- 英語を読む:300万語読む
- 英語を覚える:毎日1万語を眺める
- 英語を聴く:トータル1,000時間
- 英語を書く:英借文
- 英語を話す:2時間自分のことを話せる
僕がすごいなと思ったのは,「毎日1万語を眺める」というものです。このときに使っているのが英単語をイラストと一緒に覚えられる『Oxford Picture Dictionary English』です。
21世紀の英会話/高城剛
英語がいかに必要かというところから説いたのが,高城剛さんの『21世紀の英会話』です。本書が執筆されたのが2013年ということもあり,本書では,英語習得の方法としてフィリピン留学を推奨しています(2020年時点では「オンライン英会話」を推奨されています/メルマガより)。
英語の学習方法もそうですが,どうして英語を学習するのか,日本は世界と比べてどのようになっているのか,ではどのようにするのが良いのかなど,いかにも高城剛さんらしい鋭い視点です。
英語を「勉強」ではなく,人間に備わった「生きるためのツール」と考えた場合,三歳児と同じように,まず耳から言語を覚え,続いて口を使って話すようになるのが,人間として「自然」だと思われます。(中略)
英語をこれから習得しようとする人は,今からでも遅くはありません。この耳→口→目(読み)→最後に文法の順番で進めれば良いのです。
ちなみに高城剛さん自身は,ロクに英語が話せない20代の頃,ニューヨークに住み,日曜日に教会に行ってゴスペルを皆で歌い,生きた英語を覚えたといいます(本人いわく正しい英語とはかけ離れているそう)。この辺りもいつもすごいなと感じるのです。
純ジャパの僕が10カ国語を話せた 世界一シンプルな外国語勉強法/秋山燿平
そして,最近の中で変わり種なのが10ヵ国語のマルチリンガルとして知られる秋山燿平さんの著作『純ジャパの僕が10カ国語を話せた 世界一シンプルな外国語勉強法』です。
端的に言うと,「初期レベルで必ず使う200単語・30表現」を覚えていきます。
200単語とは,「私」「あなた」「食べる」「寝る」「楽しい」「とても」「今日」など,その語学を学ぶ入門となる名詞,動詞,形容詞,副詞などです。
そして,30表現は,「私は◯◯です」といった自己紹介(これだけで名前や誕生日が言えるのです),現在,過去,未来,疑問,否定,願望といった基本の文型です。
この犬かき表現を覚えたあと,自分にとって親しいジャンル(たとえば僕ならITなど)を広げていくことで自然と語彙が広がっていきます(スプレッドシートなどにまとめるのがオススメ)。
実は,僕が中国語や韓国語を学習しはじめたときに使ったのがこの方法です。
この方法だと,ただテキストを読んでひたすら文法を覚える,単語を覚える方法ではなく,本当に必要最小限のものから覚えられ,子どもの語彙が増えるように自然と語彙力がアップします。

2020.11.20
外国語を独学で習得するために実践していること
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