『ユーザーファースト 穐田誉輝とくふうカンパニー』限りなく多くの情報を掲載する

書評

今回は『ユーザーファースト 穐田誉輝とくふうカンパニー』を紹介したいと思います。本書で紹介されている穐田誉輝さんは,カカクコムや食べログ,クックパッドを育てたインターネット業界では有名な経営者です。今回は穐田さんが,何を考えてさまざまな大ヒットサービスを提供してきたのか,紹介します。

穐田さんの経歴,経営する際の視点

穐田さんは,父親がサラリーマン,母親は生保レディという中流家庭で生まれ,弟と妹がいます。中学生の頃から彼は「起業を目指す」とはっきり決めており,理由としては,妹が障害を持っていたことが大きかったようです。そのため,将来稼いでいくには,「サラリーマンの稼ぎじゃ知れている」と考え,起業を志しました。

彼は,高校合格後すぐにスピーカーを買いたいと思い秋葉原に毎日いっていたことがあったようで,その中で毎日価格の変化を調査していたことが,カカクコムを経営する時に非常に役立ったとのことでした。

穐田さんがサービスを成長させる際に考えているのは,「本当に顧客が欲しいものかどうか?」であり,常に世の中では何が求められているか分析し,自分で言語化できるまで徹底的に考え抜いていたようです。題名にもなっているユーザーファーストの視点で常に経営されていたようです。

商品設計では,完璧を目指さず無限を追求する

穐田さんは次のように語っています。

インターネットメディアが得意とするのは完璧な情報をひとつ載せることではなく,限りなく多くの情報を掲載することだ。そして,ユーザーもまた,ひとつの完璧な情報を求めているわけではない。完全な答えよりも,無限に情報を集めて送り届けるシステムがあるかどうかがインターネットビジネスには必要だ。

新聞やテレビをはじめとしたメディアはどうしても情報が加工されてしまっているもので,ユーザーの声が直接届いていないことが,穐田さんは問題と考えられていたようで,インターネットの強みである,ユーザーの声を無限に集めて情報を届けるということを追求してサービス設計を行っていたようです。

たしかに,それ以前,加工されていないユーザーが情報を無限に流しているサービスはあまり見たことがありませんでした。私も各サービスに触れた際に「面白いし便利だ!」と感じていたので,時代を見据えたサービスだったんだなと思います。

人事異動は成長中に実施する

穐田さんはクックパッドの執行役員に就任された時に,100名以上の社員と1on1を実施されて,「全員が何をやりたくて仕事をしているか?」というのを語り合っていったようです。また,個々のキャリアの実現とサービスの改善スピードをあげるために,社員シャッフルと呼ばれる人事異動を積極的に行っていったようです。

そのおかげで,別の社員に業務を引き継ぐ中で,業務改善が行われたり,マニュアル化が促進されたり,硬直化されていた仕事がかなり改善されていったようです。何か問題があった際に,人事異動を行う組織が多いですが,成長している時こそ,人事異動を行うのが良いかもしれません。

まとめ

今回は『ユーザーファースト 穐田誉輝とくふうカンパニー』を紹介しました。一時期一世風靡したサービスを成長させたのは,穐田さんだと言っても過言はありません。どのように考えて経営されていたか勉強になるので,興味のある方は読んでみてください。

書名 ユーザーファースト 穐田誉輝とくふうカンパニー
著者 野地 秩嘉
出版社 プレジデント社

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