キーエンスという平均年収が1000万円を超えて,高いけれどかゆいところに手が届く製品が多く,営業のレベルも高いと言われる会社があります。特に年収と営業についての話題が多い会社ですが,実は製品も他社の追随を許さないほどレベルが高いそうです。今回は『付加価値のつくりかた』というキーエンスを題材とした本を紹介したいと思います。キーエンスが如何に顧客のニーズを捉えて製品を開発しているかを紹介します。
付加価値の定義
本書のテーマは「付加価値」です。本書では価値と付加価値という言葉の違いを以下のように定義しています。
- 価値:お客様が感じるものである
・加価値:ニーズが源泉である
「価値」とはその商品やサービスに対して「お客様が『これには価値がある』と感じるもの」であり「付加価値」とは「お客様のニーズを叶えるもの」であると定義されています。
ビジネスで重要なのは,自社で仕入れたものの価値に対し,どう付加価値をつくり上げるかや,それをどうやってお客様に買ってもらい使ってもらうかが大切になります。そして最後に,「いかにその商品・サービスの価値,付加価値を感じてもらうか」が大切になります。
つまり付加価値を作るには,顧客を深く知ることが大切だと本書では強く言われています。
顧客のニーズを徹底的に調べる
顧客のニーズは「顧客の困りごと」から生まれます。「ニーズが叶う」と思うから,お客様はその商品やサービスを買います。その困りごとを知るために,キーエンスでは,マーケットイン型,つまり顧客のニーズにフォーカスした新商品企画・開発がされているそうです。
たとえば以下のようなことを企画・開発前に徹底的に突き詰めているようです。
- なぜお客様が買うのか?
- 本当にその商品・機能は使われるのか?
- 使われたら本当に役に立つのか?
- どんな役に立つのか?
顧客のニーズを突き詰めるプロセスにおいて欠かせないのが「市場調査」です。しかし,多くの企業では,この「顧客のニーズを突き詰める」ことをキーエンスのように徹底して行っていないそうです。キーエンスの新商品企画者は「商品を作る前に,現場に足を運んでお客様に直接ニーズを聞く」「その企業が何に困っているのかを調査・分析する」という市場調査を徹底的に行い,その結果を商品開発に反映させているそうで,顧客のニーズにあった製品を作るために全員が現場目線で開発をしているようです。
まとめ
今回は,「付加価値のつくりかた」という本を紹介しました。キーエンスは,マーケットイン型の考え方で,お客様のニーズにあった製品を作りだしてきました。本書ではさらに「顕在ニーズ」だけでなく「潜在ニーズ」に応えた製品を作る方法なども詳しく語られています。興味がある方は一度読んでみてください。
書名 | 付加価値のつくりかた |
著者 | 田尻 望 |
出版社 | かんき出版 |