「ダイレクトリクルーティング」という言葉を聞くようになり久しくなりますが,個人的には「ようやく通常の求人広告や人材紹介と同じく現場に定着するようになった」と感じています。
そこで,今回は,ダイレクトリクルーティングをテーマに記事を書いていきます。
言葉が定着しはじめたからからといって,「とりあえず導入する」でなく,メリットやデメリットを理解することで「有効な採用手法のひとつとして導入する」一助になればと考えています。
ダイレクトリクルーティングとは?
ダイレクトリクルーティングとは,企業経営者,人事担当者など,企業の人材採用を主導する立場の人物が,自社にマッチする人材を第三者サービスに頼らずに探し出し,直接コンタクトをとってスカウトする採用手法を指します。
ダイレクトリクルーティングは海外ではすでに主流の採用方式ですが,日本では近年になって急速に発展するようになりました。
日本でのダイレクトリクルーティングの普及は,「人材データベースの利用」からはじまっていることもあり,「ダイレクトリクルーティング=人材データベース利用」と考えられている場合が多いです。
海外では人材データベース利用に留まらず,ビジネスSNSとして登録者同士がつながりを作り,つながった人同士で情報を共有してコネクションを拡げ,事業拡大につなげていくことも行われていたりします。
今回はあくまで採用なので「データベース利用における採用手法」で説明していきます。
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※ダイレクトリクルーティングは和製英語です。英語では「ダイレクトソーシング(Direct sourcing)」と呼ばれています。
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今までの採用との違いは?
日本における従来型の採用方式は,「求人広告を出し転職希望者からの応募を待つ」「人材紹介サービスを使う」など,第三者が提供するサービスにアウトソーシングすることが大半でした。
この場合,採用企業は,求職者のデータベースを主導権をもってコントロールすることができません。
また,実際にどういう人材が,どの程度応募してくるかも企業側では具体的につかめません。
そのため,優秀な人材の採用に直接的に関わることは難しく,第三者サービス経由で届く人材情報を社内で選考するだけの「受け身の採用方法」とされます。
一方,ダイレクトリクルーティングは,「ビズリーチ」や「LinkedIn」などが提供する「人材データベース」に採用企業自らがアプローチできる「攻めの採用手法」です。
どのくらいの人数,どのランクにある人材をプールし,どの程度の頻度でスカウトなどのアプローチを行うかは業種,業態,企業の社風によっても異なります。
ダイレクトリクルーティングを開始したからといってすぐに効果が現れるわけではありません。後述しますが,開始直後から劇的な効果は見込めないものの,PDCAをきちんと回すことで,自社に最適化された求人のためのプロセスを構築することができるようになるでしょう。
ダイレクトリクルーティングのメリット
ダイレクトリクルーティングのメリットは以下です。
- 人材紹介より低コストで採用が可能
- 自社で採用ノウハウを蓄積できる
通常,人材紹介会社が「集客・求人の応募喚起・求人への意向上げ」をアウトソーシングしてくれている状態で,高いフィー(手数料)が設定されている背景もあります。そこで,採用企業自身がダイレクトリクルーティングを行うことで,料金はデータベース利用料のみになり,採用単価が下がります。
また,ダイレクト・リクルーティングは,自社で採用ノウハウが蓄積できます。今までの「受け身の採用」では,人材企業にアウトソーシングしている部分が多くノウハウが定着し辛い状態でしたが,求職者集客からすべて自社で行うことにより,各プロセスでノウハウの蓄積が可能になります。
ダイレクトリクルーティングのデメリット
一方,以下のデメリットがあります。
- 工数が増える
- すぐすぐの効果が出づらい
メリットに記載した「採用費用を下げることが可能」ということと「ノウハウ蓄積」の代償というべきものですが,まさに自社の工数が増えます。
応募者への連絡対応,面接日程などさまざまな調整,今まで人材会社にアウトソーシングしていたものを自社で完結することになるので,大変です。
そのため,自社の採用リソースが十分でない場合は,マッチしない手法といえるでしょう。
また効果もすぐには出ません。応募者集客から意向上げなど,すべて自社で完結する必要があります。意外と,これをかんたんに捉えてしまう方も多いのですが,今までプロの人材会社にアウトソーシングしていたなら,なかなかうまくいかないのが現実です。
地道な改善を行いながら,ようやく半年後くらいで自社なりの採用のあり方が見えてくるので,長期的施策で導入する方が良いでしょう。
まとめ
ダイレクトリクルーティングについて今回は解説しました。
自社のリソースを確保でき,長期視点で行う施策としては有効なものになります。
いきなりの導入が難しい場合でも,採用手法のひとつとして導入していくことで,徐々に採用コスト削減や自社採用強化につながるので,試してみてください。