営業の業績を評価する尺度は目標・予算の達成率であることが多いため,その中核となる受注件数や受注額の増減には,常に一喜一憂し続けてしまうことが多いのではないでしょうか。一方,日々のルーティーンの中で受注の検証については,徹底されていないことが多いと思います。そこで,今回は受注との向き合い方を紹介していきたいと思います。
営業の成長を分ける「売った」のか「売れた」のか?
受注直後には,ほんの2, 3分で構わないので,下記の3ステップの検証を行って欲しいです。
①「売った」のか「売れた」のかの区別
②受注できた要因を3つ挙げ,ウエイト付け
③自分の「勝ちパターン」かどうかの判断
まず,「売った」のか「売れた」のかの区別については,前者が能動的に自身の営業力で受注した営業であるのに対し,後者は魅力的な製品だったり,古くからの大口の得意先だったりするなど,自分以外の誰が担当しても「売れて」しまうケースを呼びます。一言で言うと,受注に至るまでにどの程度営業が貢献したかという介在価値を認識するものになります。
営業の成長という指標では,後者の場合はラッキーの要素が大きいだけに「営業の勘違い」の要因にもなりやすいです。要は,能動的に仕掛けなくても,顧客の方から見積依頼や入札参加の依頼が来るために,その対応をしているだけで,それなりの業績になってしまうということが問題になります。当然,自分の頭で考えて,成功したり,失敗したりしているわけではないので,案件を効率的に回す以外のところでの成長が期待できなくなってしまいます。
そういった受け身の度合いが強い営業であるなら,「売れた」受注と言われる部分にプラスして,自らが介在して案件化させた受注を右肩上がりに増やしていく活動を重点的に行っていくと良いでしょう。
なぜ受注できたのか?を分析する
「なぜ,受注できたのか」の要因を分析して以後の営業活動の参考にしていくことは,重要になります。おすすめのやり方は「受注できた要因」を3つ挙げて,感覚でいいのでそれぞれの要因をウエイト付けするために全体を100%にして按分してみましょう。
以下は例になります。
- 潜在的課題だった所に最初にアプローチできた:65%
- 価格の高さを相殺して余りあるメリット提示ができた:20%
- 導入実績の多さ:15%
営業部の関心というのは目の前の目標達成・予算の必達のため,受注さえしてしまえば「結果よければ,すべてよし」となってしまい,受注理由の分析にまで気が回らないことがほとんどです。
また,失注した際に敗因を分析して,次に活かそうという施策を試みる営業部門はあるのですが「勝因分析」にまで踏み込む企業は少ないです。このひと手間の「勝因分析」を積み重ねることによって,自らの「勝ちパターン」の輪郭が明確になります。
そうなると「潜在的ニーズには当たりをつけられたから,ここを案件化させるためには,次の一手として,同業他社目線の導入メリットと,この間作成した異業種を含めた先進事例でまとめた資料を持参しよう。そうすれば,メリットのリアル感が高まり,導入実績の多さのアピールにもなる」と案件化のための行動が見えやすくなります。また,先行者利益もあって当然受注率も高くなっていくのでおすすめです。
まとめ
今回は受注理由の分析について解説しました。受注理由の分析は,チームで行うのは大変でも個人で行うことは可能です。うまくいった分析を積極的に行い営業力を高めていきましょう。