今回は,書店にてふと手に取った『瞬考』を紹介したいと思います。本書は,コンサル会社ドリームインキュベータの元代表の方が書かれた本で,「仮説を構築するには何が大切か?」ということが書かれています。ビジネスの場において,仮説を構築することは重要なので,どのようなポイントがあるか紹介します。
仮説構築の厳選はインプット
「目的設定のためには,『何が課題なのか』を明確にする仮説構築力が求められる」と本書では語られています。短い時間軸,かつ狭い範囲の中で課題を探すのは簡単ですが,そこで見つかった課題は大抵の場合,誰しもがわかることで,そこで「みんなが気づいていなくて,気づくべきこと」を出せるのが面白い仮説を立てる上で重要となります。このような面白い仮説を出すには,他の人と同じような目線や範囲で考えていては,出てきません。そのためには,さまざまなことを知っておかなければならないということで,大量の情報をインプットしていると,知識を紐づけて仮説がどんどん出てくるようになると書かれています。
まさにこれは「一を聞いて十を知る」といった状態で,この境地に至るには「一を聞いて十を調べる」ことが大切だそうです。5年,10年と「一を聞いて十を調べる」ことを継続することによって累積したインプットは,大きな「知の資産」となって,頭の中に,多数の事例や事象を累積して溜め込んで,長期の時間軸を意識して思考すれば,仮説は一瞬ではじき出せるようになります。これが著者が言う「瞬考」と読んでいる考え方です。
瞬考のポイント
瞬考をするにはポイントがあるようで,以下の6つを意識すべきとのことです。
①求められる仮説とは「相手が知らなくて,かつ,知るべきこと」を捻り出すこと
②仮説構築をするためには,事象が起きたメカニズムを探る必要がある。メカニズム探索では「歴史の横軸」「業界知識の縦軸」,その事象が起きた「背景」を意識する
③導き出した仮説を「メカニズム」として頭の中に格納し,それらをアナロジーで利用する
④事例などのインプット量が仮説を導き出す速度と精度を決める
⑤「一を聞いて十を知る」人ではなく,「一を聞いて十を調べる」人が仮説を出せるようなる
⑥あらゆる局面でエクスペリエンス・カーブを意識する
つまり,今までインプットしてきた内容を活かしさまざまな事象に対して,仮説立てをしていくことが大切ということです。仮説を出すにも相手の状況や,現状の理由が必ずあるはずです。それらを想像しインプットした内容を絡めていくことで,だんだん瞬考ができるようになるのでしょう。
まとめ
これからの働き方は,何かを行うときに,タスクを分解し,実行に必要な人材をキャスティングし,仕事を依頼し,取りまとめるプロデューサー的役割と,依頼された仕事を瞬時にこなすスペシャリストの組み合わせになっていくことが予想されます。そのような社会になったとき,的確な判断ができるようにみなさんも瞬考をできるように訓練しておくと良いでしょう。
書名 | 瞬考 |
著者 | 山川 隆義 |
出版社 | かんき出版 |