『そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。』営業管理にも活用したい

書評

『そのビジネス課題,最新の経済学で「すでに解決」しています。』という本を書店で見かけ,気になって手にとってみました。内容としては,タイトルの通り「今のビジネスの課題を経済学の視点で見ればどうなの?」について解説されています。

「FSP-D」モデルとは何か?

本書では,「FSP-D」モデルというものが提唱されています。これは,「F:フリー」「S:ソーシャル」「P:価格差別(プライス・ディスクリミネーション)」「D:データ」,これら4つを用いてビジネス戦略を立て,最大限の利益を目指すというものです。

具体的に書くと,以下のようなものです。

  • F:モノやサービスを「無料」で提供し,多くのユーザーを獲得する
  • S:人々のソーシャル性・ネット空間のロコミなどを利用する
  • P:「多段階価格差別」で利益を最大化していく
  • D:データ上のすべてをどのように進めるかをデータを使って考える

近年のビジネス環境では,このような方法を用いてビジネスを拡大していくことが主流となっているようです。実際,最近の楽天モバイルなどもこの方法でサービスを広めています。

最初は無料で利用できるプランで利用者を増やし,CMや口コミで拡大させ,ユーザー数が一定増えたタイミングで,有料プランに切り替えていくという「FSP-D」モデルが活用されています。無料で集めたユーザーの一部は離脱はしますが,サービス周知度や今後の有料ユーザーからの収益を考えると,「後発のキャリア」としては良い戦略だったのではないかと感じています。

営業管理でも経済学を活用できる

営業管理の現場では,CRMシステムを利用し,顧客管理を行なっていることが多いです。しかし,普段の営業現場で重視されるのは,「取引企業の規模の大きさ」や「初回受注額の大きさ」です。

しかし,本書では,経済学の観点から重要視すべきなのは「顧客の生涯価値」だとあります。つまり,長く多くの金額を払ってくれる顧客となり得るのか,そのための顧客管理ができているかが重要であるということです。

言われればわかるのですが,普段はどうしても顧客管理というよりは営業のさじ加減になってしまっている会社も多いのではないでしょうか。私も本書を読んで生涯価値を重視していこうと思いました。

まとめ

本書では,「今,直面している課題は過去に必ず起きていて誰かが解決をしている」という,たしかに納得できる内容が多く書かれています。新しい視点が欲しい方は一度読んでみるとよいでしょう。

書名 そのビジネス課題,最新の経済学で「すでに解決」しています。
著者 上野 雄史ほか
出版社 日経BP

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