小さな惣菜チェーンの社長さんが「募集費1/2 採用数2倍」でやったこと

書評

「採用費も上がり,人件費も上昇しているから,中小企業が採用で勝つのは無理」という意見は,今までもありましたが,昨今はさらに加速してきました。しかしながら,採用活動を行わなければ,既存従業員の負担も大きくなってしまうし,人が増えないことには売上の増大もありません。

今回はそんなお悩みを抱える中小企業の方の参考になればと思い,『小さな惣菜チェーンの社長さんが募集費1/2 採用数2倍でやったこと』という本を紹介したいと思います。

どんな本なのか?

本書は,関東地方で惣菜店や飲食店を経営する「はなまるフードサービス」の代表の方が書いた本になります。

1996年の創業時には人集めには苦労しなかったそうですが,2013年に神奈川県に出店したときから状況が大きく変わり,もっともひどかった2015年には,蒲田店で募集期間2カ月,求人雑誌への広告費350万円(通常時の2倍)をかけたにも関わらず,1名しか集まらなかったという苦い経験をされたそうです。

また,2016年には求人広告だけで年間2000万円をかけざるをえなくなってしまいましたが,それでも人が集まらず,正社員の長時間労働化というように悪循環が広がっていったという状態から,大きく採用状況を盛り返していった過程が書かれた本です。

採用も結局は相手目線が大切

本書では,採用難になっていったのは,求職者のことが見えていなかったことがが大きいとあります。

「とりあえず会社は伸びているので人手が必要だ!」と広告費をかけ採用を行っていましたが,求職者にとってはありきたりな記事の打ち出しとなってしまい,誰にも刺さらない内容になってしまっていたようです。

それに気づいてからは,「自社に魅力を感じてくれる人はどういう人なのか?」「どういう人が長く活躍してくれていて,そんな人は自社のどんな点に魅力を感じてくれているのか?」など自社の自己分析をしていったそうです。どんなポイントを見直していったか紹介していきます。

採用を改善する為に見直したポイント

採用改善のために見直したポイントとして,以下のことがあげられています。

①ターゲット(当社が求める人間像)を決める

②会社の将来像に合わせた要因計画の作成をする

③自社にあった媒体を選択する:1会員当たりの掲載料,担当者の熱意など採用のターゲットにあった人材がいる媒体を選ぶ

④ターゲットに響くメッセージを作成する:求職者が,仕事や身につくことをイメージしやすい広告を心がけたようです。「こんなふうに自己の成長を実感できますよ」や「包丁を持った経験のない方でもOK」など未経験でも安心ができて,採用後に就く仕事を誰でも理解できるようにするなどです。

⑤求人サイトでの工夫:ウェブサイトの機能(スカウトメール,あってみたいメール等)を活用する。面接後2日以内に結果を連絡すると事前に伝えたり,面接日の設定を応募後最短日に設定するなど取りこぼしが発生しない体制にする。

ここでは5つの例をあげましたが,本書では面接の対応や入社後の対応例なども記載されているので気になる方は本書を読んでみてください。このような内容をみると「当たり前すぎて特に学びがない」と感じる方も多いと思いますが,この基本を徹底してやれる組織はかなり少ないのが現状です。

まとめ

今回は『小さな惣菜チェーンの社長さんが募集費1/2 採用数2倍でやったこと』を紹介させて頂きました。採用活動は今後もどんどん難化していくことが予想されます。爆発的に改善する魔法のノウハウは存在しないので,自社に出来る工夫を各社考えてみてみましょう。

書名 小さな惣菜チェーンの社長さんが「募集費1/2 採用数2倍」でやったこと
著者 川名 勝経
出版社 商業界

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