成毛眞さんらしくないタイトル。
それが,発売日前に『バズる書き方』というタイトルを見たときの感想でした。
だって,成毛眞さんといえば,流行っているものをぶった斬るイメージがあるんですもの(笑)。
しかし,そんなものは当然杞憂に終わり,成毛眞さんが意識している文章論が楽しめます。
オンライン集客が当たり前のようになって久しく,企業のウェブサイト(オウンドメディアなんていったりします)やSNSでも文章を担当する人も増えています。そんな中,どうすればスマホビューに耐えられる(←ここは大事です)文章が書けるのがわかるのが本書です。
本書では,「HONZ式」文章術が紹介されます。「HONZ」とは,成毛眞さん主宰の「おすすめ本」を紹介するブックレビューサイトです。あくまで「おすすめ本」というのがポイントです(ほめる)。
さて,HONZ式文章術のルールは以下の3点です。
- 何があっても「一字下げ」するな
- 140字に1つ行間をつくれ
- 特殊文字は使うな
『バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる』
これだけ読むと,「これくらいならすでにできているし」と思う方も多いと思います(自分です)。実際,ほかにも「漢字の閉じ開き」など,ある程度文章を書き慣れている方なら普段から意識してできていることも多数書かれています(本書が文章を書かない人寄りの視点というのもあります)。
ただ,想定読者,ほめろ,〆ろ,思いつき,起承転結・結など,「こんな工夫していたんだ」ということもきっとわかるはず。何より,成毛眞さんがフェイスブックで10回も20回もブラッシュアップしているという投稿の変化がわかるのも趣深いのです(なかなかレアです)。
成毛眞さんは,本書以外にも『黄金のアウトプット術』(2018年/ポプラ社)でも,文章の書き方について触れています。何を隠そう,当サイトの書評記事は,その書き方をベースにしています(笑)。
端的に言うと,「800字ではなく,100字×8で書く」というものです。
いきなり800字を書こうとしても,それは,ランニング未経験者がいきなり10岐路を走ろうとするようなものだ。
まずは1キロを目指して走れよといいたくなるだろう。文章も同じ。まずは100文字を目指せばいい。
この100文字のブロックを8つ作ると,あっという間に800字の文章ができるというわけです。このブロックはそれぞれ,「読者の想定」「中身の紹介」「引用」「著者の紹介」などに分かれています。
当然,この構成を忠実に再現するわけではありませんが,まずは型どおりきちんと作り,そこから徐々に崩していく,書いているうちに比重をつくる部分をつくっていくことになります。
そして,成毛眞さんがどの書籍でも言うのが「ディスるよりほめろ」です。
悪口を好む人たちは声が大きい。意地の悪い野次馬根性で,過剰に騒ぎ立てるきらいがある。そのため,まるで彼らが世の中の多数派であるかのように見えてしまうが,じつは違う。声が大きいから数も多いように見えているだけだ。
本当は誰か(何か)に対する悪口よりも,誰か(何か)に対する称賛を好んで読む人のほうが,はるかに多いのである。
SNSを見ていても,まさにそうですよね…。
成毛眞さんといえば,「日本人の9割に英語はいらない」など,世の中の一見きれいに見える流れを上手に斬るのが得意です。と同時に,キュレーション,STEAM,そしてamazonなど世の中の流れを早く捉えることでも支持されます(amazonの本はアマゾン社を知る有名な本になっていますよね)。
ここに来て,識者(成毛さん)の意見を知りたいという声に応えるように『アフターコロナの生存戦略』『2040年の未来予測』と出版が続きます。さてさて,これらも気になるところです。
書名 | バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる |
著者 | 成毛眞 |
出版社 | SBクリエイティブ |