今回は書評ということで,『人生は,運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』を読んだ感想について記載していきます。表紙を見ると,「漫画みたいな本なのかな?」と思ってしまう本なのですが,中身はまったく違う本格的な本です。
本書を読むのに向いている方
- 名前を売りたいけどなかなか成果の出ない方
- 実力に自信をもって仕事をしている方
- 今後,さまざまな分野で成果をあげていきたい方
以上のような「個人の名前で勝負したい」と考えている方にはおすすめです。最初,不快に感じる方もいるかもしれませんが,世の中の仕組みを冷静に考えると,「本書に書かれていることは間違っていないな」と感じることが多いはずです。
ハロー効果による錯覚資産の活用
著者は,世の中は,心理学でいうところの「ハロー効果による錯覚資産」によって錯覚が起こっているといいます。
分野にもよりますが,世の中では,「資金調達を◯◯億円している起業家」「チャンネル登録者500万人のYouTuber」など,こういった方が話す内容は優れて聞こえるということがあります。
これらの実績やラベルを否定しているわけではなく,「実績の目立たない方が同じことを話すのに比べ,評価が圧倒的にされやすい」ということを指摘しています。
著者はこの「錯覚資産の活用」が成長させる上で重要だと語っています。
錯覚資産の利用の活用例
錯覚の資産の活用の例を記載します。「思考の錯覚」が起こると,その人に対するすべての印象が上方修正されるというのが著者の意見です。
順を追って解説すると
①俳優Aがドラマのヒーロー役を務め高視聴率を叩き出した
↓
②俳優Aの実績が評価され,視聴者やメディアに「思考の錯覚」が起こる
↓
③俳優Aの人柄・発言・ファッションに注目が集まる
↓
④「思考の錯覚」により俳優Aの人柄・発言・ファッションまで高く評価される
↓
⑤俳優Aは新たな活躍の場を与えられて実績を積み,「思考の錯覚」を大きくする
といった流れで,錯覚によってどんどん俳優Aの評価が高まるということになります。
ここで重要なのが,「思考の錯覚」によって,新たな活躍の場=成長機会を得ているということです。
成長機会を得ると,そこで実力が伸びます。そして,伸ばした実力がさらなる成功を生み,「思考の錯覚」を引き起こし…,というループが発生していきます。
そうなると,どこかでループが断ち切られない限り,実力は伸び続け,引く手あまたの人材として活動し続けることができる。というのが「錯覚資産の利用」です。
最終的には,それまで俳優Aより高い実力を持っていた先輩俳優までも実力で追い抜いてしまう可能性すら,このループは秘めています。
つまり,「ルールのない世の中」に見える現代ですが,一定の勝ちパターンはあるということです。
まとめ
個人的にはすごく好きな本でした。
単に「錯覚資産だから情報を見極めよう」で終わっている本が多い中で,「利用することで良いループにのれる」というのが納得感があり楽しく読むことができました。また,不平不満を言うのではなく,「世の中から与えられた場で一流になっていく」ことが大事なのだとも感じました。
書名 | 人生は,運よりも実力よりも「勘違いさせる力 |
著者 | ふろむだ |
出版社 | ダイヤモンド社 |