指定都市(政令で指定する人口50万以上の都市)に住む方は,就職/転職エージェントを中心に求人を探し,ハローワークは失業保険の受け取り程度にしか利用しないという方が多いでしょう。
また,指定都市以外の地域に住んでいる方であれば,ハローワークの利用率は高いと思います。
そこで今回は,「ハローワークと就職/転職エージェントは何が違うのか」について解説します。
ハローワークについて
ハローワークとは
ハローワークとは,正式には「公共職業安定所」といい,主に職業紹介事業を行っています。ハローワークは国(厚生労働省)が運営しており,民間の職業紹介事業者とは異なります。
ハローワークの主な業務は,人材を探している企業に対して,仕事を探している求職者を紹介することです。民間が運営する就職/転職エージェント(人材紹介会社)と同じく,求職者の利用は無料で,人材を求める企業側の利用も無料という特徴があります。
ハローワークのメリット
ハローワークのメリットは以下の点があげられます。
- 幅広い求人を見ることができる
- 特に地元の求人数が圧倒的
- 失業手当や再就職手当がもらえる(※条件付きです)
まず,「幅広い求人を見ることができる」「地元の求人数が圧倒的」という2点は,重複している内容が多いので,合わせて解説します。
前述のように,ハローワークは求人を出す企業も利用料金が無料です。そのため,利用する企業が多くなり,特に地方部に多い中小企業は,ハローワークを利用して採用をするケースが多くあります。
次に「失業手当」や「再就職手当」がもらえる点について,雇用保険に1年以上加入されていた方は,次の職場が決まるまで,前職給与の50〜80%程度が支給され,失業手当受給中に次の職場が決まると,給付金がもらえたりします。
これは「ハローワークで就職活動をしている実態」がないと支給されないので,こういった手当を受けようと考えている方はハローワークを利用しましょう(利用すれば良いだけでハローワークを通じて職場を決めなければいけない義務はありません)。
ハローワークのデメリット
ハローワークのデメリットは以下です。
- 大手企業や条件が良い求人を探す難易度が高い
- 職員が転職などのキャリア,特定業界に精通しているとは限らない
- 平日の日中にしか利用できない
まず,「大手企業や条件が良い求人を探す難易度が高い」という点ですが,一般的に高待遇であったり,大手企業の求人は少ないです。
企業側の求人掲載料金が無料ということもあり,中小企業の掲載が多くなり,条件の良い求人は「お金をかけて特定スキルを持つ人間を採用する」という企業が多いのが実情です。もちろん,まったくのゼロではありませんが,それらを探したり合格する難易度は高くなるでしょう。
ハローワークでは「職員が転職などのキャリア,特定業界に精通しているとは限らない」ということがよくあります。もちろん,職員に人事経験者や採用に携わったことのある方はいるのですが,まったく畑違い出身という方もいます。
それに加え,求人数が膨大なことと,掲載企業に1社ずつ訪問したり,実情を伺っているわけでもないので,担当者が的確なアドバイスを送ることはどうしても難しくなりがちです。一般的に就職活動のアドバイスはもらえますが,個別企業や業界のアドバイスはもらいにくいと考えましょう。
「平日の日中にしか利用できない」について,これは公的サービスのどうしても不便なところです。在職中の方が,休日や夜間に利用しようと思っても,特定の日にしか利用できません。そのため,「働きながら転職活動を行いたい」という方はスケジュール調整で苦労するでしょう。
就職/転職エージェントについて
就職/転職エージェントとは
就職/転職エージェント(人材紹介会社)は,ハローワークと同じく職業紹介事業を行っています。こちらは民間企業が運営しておりハローワークとは別物になります。
人材を探している企業に対して,仕事を探している求職者を紹介することが主な業務であるのはハローワークも同じですが,一点違いがあります。
それは,求人を掲載する企業は「有料」ということです。民間企業はあくまで営利目的であるケースが多いので,サービス利用は有料になります。
一方,求職者としてあなたが利用するときは,ハローワークと同じく「無料」です。
就職/転職エージェントのメリット
就職/転職エージェントのメリットは以下です。
- 大手や条件面が良い企業の求人も豊富
- 担当者が転職やキャリア,特定業界に精通している可能性が高い
- 土日や夜間など在職しながらの就職活動でも利用しやすい
「大手や条件面が良い企業の求人も豊富」という点ですが,人材紹介会社を利用している企業は,お金を払ってでも「優秀な社員を採用したい」という思いは非常に強いです。
また,条件が良い求人は「特定のスキル」を求めるケースが多く,そのような人材をピンポイントで求めるのは,有料の民間企業に頼まないと困難です。そのため,就職/転職エージェントで扱っている求人数はハローワークより少ないですが,条件が良い求人が多くなります。
「担当者が転職やキャリア,特定業界に精通している可能性が高い」に関しては,人材紹介会社では「特定の業界や職種・キャリアに特化した担当者」を設けているケースが多いです。
また,企業にも1社ずつ訪問して実情を伺っているので,求人知識も豊富なことが多いです。そのため,個別の業界や会社に対するアドバイスがもらいやすくなります。
「土日や夜間など在職しながらの就職活動でも利用しやすい」というのは,民間企業ならではです。登録後のヒアリング時に「日中や休日しか利用が難しい」ことを伝えれば,それに合わせた就職/転職活動の進めるプランを組んでくれる会社も多いので,在職しながらでも利用しやすいといえるでしょう。
人材紹介会社の特徴(デメリット)
- 必ず求人が紹介されるとは限らない
- 指定都市以外の地方では求人が少ない
- 強い営業活動を受けることがある
「必ず求人が紹介されるとは限らない」という点ですが,求人を出している企業も有料なため,特定スキルを求めたり,人柄や年齢なども求人紹介可能かどうかに大きく関わってきます。もし,ご自身の希望と企業が保有している求人が合わない場合は,求人を紹介されないこともあると理解しましょう。
「指定都市以外の地方では求人が少ない」という点について,指定都市以外の地方は中小企業が多く,高額な採用費をかけられない会社もたくさんあります。そのため,地方部で働きたいというニーズには答え辛いこともあります。
「強い営業活動を受けることがある」というのは民間企業の特性です。民間の就職/転職エージェントはあくまで営利企業なので,利益をあげるために活動しています(カウンセラーも全員営業職です)。
そのため,ときどき押しが強い方もいます。ただ,当然,内定を辞退することは何の問題もないですし,担当者変更も可能です。不本意な就職/転職活動にならないように気をつけましょう。
ハローワークと就職/転職エージェントの比較
改めて「ハローワーク」と「就職/転職エージェント」を比較します。
ハローワークを利用するのが向いている方
- 地元や家の近くで働きたいという方
- まずは幅広く求人をみたい方
- 失業保険をはじめとした手当を受け取りたい方
大きく分けるとこの3つのニーズがある方は,ハローワークを利用するのが合っています。
特に「地元で働きたい」という方にはハローワークがマッチしています。とりわけ,指定都市以外で就業を希望する方は利用すると良いでしょう。また,失業保険など受け取りたい方は,必ず一度は利用履歴をハローワークで作り手続きを行いましょう。
就職/転職エージェントを利用するのが向いている方
- 指定都市などで大手や条件面が良い企業にチャレンジしたい方
- 個別の企業や業界に転職するためのアドバイスを受けたい方
- 在職中の方
この3つのニーズの方は,就職/転職エージェントを利用するのが合っています。指定都市だと求人数も問題なありません。担当者から専門的なアドバイスを受ける事も可能です。また,在職中の方でも夜間や休日対応をしている会社もあるので,そういった方が利用するときにもマッチします。。
まとめ
ハローワークと就職/転職エージェントの比較ということで書きました。
どちらも一長一短があります。求職者は両方とも無料サービスになるので,併用しながら,自分のニーズにあった手段を積極的に活用していきましょう。就職活動が良いものになることを願っています。
(転載元:JOB COMPANY)