『「働かないおじさん問題」のトリセツ』年齢を重ね居場所を失っていく人

書評

「働かないおじさん」という言葉をときどき聞くことがあります。特に20代や30代前半の若者から「年配の方が働かないけど給与が高い」という声を聞くことが多いです。

自分も32歳で「おじさん」と世間で言われる年齢に差し掛かってきたのもあり,「働かないおじさん問題」のトリセツという本を読みました。今回は読んだ感想など記載していきたいと思います。

そもそも「働かないおじさん」とは何か?

「働かないおじさん」とは,一般的に「会社の中で真面目に仕事をしないくせに給料をもらっている人」といったイメージがある人が呼ばれています。

しかし,本書では,「働かないおじさん」と呼ばれてしまう人の多くが「真面目でコツコツ働く人」だと言っています。周囲からの期待と成果にギャップが生じているミドルシニア人材が増えてきており,本人が好き好んで「働かないおじさん」と呼ばれる状態になっているケースはほとんどないようです

本人が気づいていなかったり,薄々気づいていながら上手く対応できず,周囲や上司の期待とギャップが生じてしまっている場合が多いようです。

さまざまな環境変化によって,従来型の雇用システムでは対応できないことが増えてきています。人は,年齢が上がってくると,どうしても短期間での変化に対応できない方が多くなり,今まで「ベテランのノウハウを活かす」という手法でできていたような企業も経営戦力を変化させています。

その中で,無意識に愚直に今までのやり方通りに仕事をしているベテラン社員が,いわゆる「働かないおじさん」と呼ばれ,居場所を失っていくのが日本の仕事場で起こっている実態のようです。

人事がとれるアプローチとは何か?

単純に「リストラや早期退職者募集をする」という方法も,大企業ではよく使われています。ただ,「雇用を継続して利益を出してもらう」という視点で言えば,時間がかかってもその他の施策を取っていく必要があります。具体的には以下のようなことから始めていく必要がありそうです。

  • そもそも会社が求めていることとその方が出しているパフォーマンスの認識の差を埋める
  • そのギャップを調整する仕組みを導入していく

「ギャップを認識してもらい改善する」という作業は途方もない工数もかかりますし,社内での反発も考えられます。しかし,「雇用を継続して利益を出してもらう」という経営判断を行ったのであれば,少しづつ前に進めていった方が良いでしょう。

今「おじさんに困っている!」という若者たちも,いずれは同じような「おじさん」になります。会社として,この問題が消えることはないので,さまざまな試行錯誤をしながら,自社なりの回答を持つようにすると強い武器になると思います。

まとめ

「働かないおじさん」問題は一朝一夕で解決できるものではありません。また,日本は少子高齢化が進んでいる状態でありますし,各社何かしらの答えをもっておく必要があるでしょう。まだ他人事だと捉えている若い世代も方も一度真剣に考えてみてください。

書名 「働かないおじさん問題」のトリセツ
著者 難波 猛
出版社 アスコム

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