今回は『影響力の武器~人はなぜ動かされるのか?~』を読んだ感想について書きます。
本書は,初版が1984年に発行され,現在は第三版まで改訂されている世界的ベストセラーです。
内容は相手に「yes」と言わせる「承諾誘導」などについて書かれており,人はどのように「承諾誘導」によって意思判断を狂わされ,「yes」と回答してしまうの仕組みと対策に言及しています。
こんな人におすすめ
本書は,以下の方に親和性がありおすすめです。
- 営業職を始め交渉事が多い方
- 自分はだまされやすい自覚がある方
- 心理学などに興味のある方
特に交渉事が多い方には覚えていて損のないテクニックが掲載されています。
また,逆に「口車に乗せられてしまったな〜」と思うことが多い,騙されやすい方にもおすすめです。ある程度心理的テクニックを頭に入れておくだけで,「本で読んだやつだ!」と気づける場面が増えます。腹黒い目的でなくとも教養的にも面白い本だと思います。
なぜ,人は動かされる?
本書は副題でもある「人はなぜ動かされるのか?」をさまざまなデータと共に解説しています。
「動かされる」その要因は,何でしょうか。
それが「固定的動作パターン」だと本書で紹介されています。
「固定的動作パターン」とは,規則的で盲目的な,機械的な行動パターンのことを指します。たとえば,本書では「七面鳥」が例としてあげられています。「七面鳥」の母鳥は面倒見が良いことで知られていますが,この行動は実は「あること」がきっかけとなっているのです。
それはヒナたちの「ピーピー」という泣き声です。この「ピーピー」という鳴き声が聞こえると,母鳥は献身的に面倒を見始めます。興味深いのは「ピーピー」と鳴けば,イタチの剥製であっても,面倒を見始めるのです。逆に「ピーピー」と鳴かなければ,実の子でさえ面倒を見ないといいます。
これをカセットテープの再生ボタンを押したときの音から「カチッ」「サー」と呼んでいます。
カセットテープ世代でない方はイメージが付きづらいかもしれませんが,カセットテープを押したときの音を「カチッ」,カセットテープから流れる砂嵐の音を「サー」と表しています。
実際に心理学でも「カチッサー効果」とも呼ばれており,何か特定の働きかけによって,深く考えることなしに,ある行動を起こしてしまう心理現象として認められています。
そのため,私たちも普段は考えて意味のある行動をしているつもりでも「カチッサー効果」で無意識に意思決定してしまっているのかもしれません。
まとめ
本書には,他にも「一貫性の法則」や「返報性の法則」など,よく聞く心理的法則についても仕組みの説明などがあり楽しめます。ただ,かなりボリュームのある本になるので,いっぺんに読まず,テーマごとに読むと良んでみるとよいでしょう。
書名 | 影響力の武器 なぜ、人は動かされるのか |
著者 | ロバート・B・チャルディーニ |
出版社 | 誠信書房 |