今回は『会社からルールをなくして社長も投票で決める会社をやってみた。人を大事にするホラクラシー経営とは?』という,ダイヤモンドメディア創業者の本の感想を書きます。
この本のテーマは,2017年頃に話題になった「ホラクラシー経営」です。
「ホラクラシー」とは何か?
「ホラクラシー」とは,社内に役職や階級,上司と部下の関係などが一切存在しない,フラットな組織構造のことを指します。海外では「ザッポス」,国内では「アトラエ」などで導入が進められ,2017年当時,話題になりました。
ホラクラシー組織の大きな特徴として,意思決定権が組織内で分散されるという点があげられます。組織内に上下関係がないためメンバー全員が対等な立場となり,意思決定権がそれぞれの個人やチームに分散されるのです。
その結果,メンバーそれぞれがより大きな裁量を持って主体的に仕事に取り組み,また意思決定のスピード向上が期待されるようになります。
ダイヤモンドメディアでのホラクラシーの仕組み
本書に登場する「ダイヤモンドメディア」では,以下の施策が取られています。
【マネジメント面】
- 明文化された理念がない
- 人を管理しない
- 働く時間,場所,休みは自由
- 上司部下無し(メンバーと呼ぶ)
- 労使概念の排除(経営と労働の融合)
- 残業という概念の排除
- 肩書は自分で決める
- リーダーは自然発生に任せる
- 部署制,事業部制,プロジェクト制の立体3軸
- 「場」の力によるマネジメント
- 全ての社内データにアクセス可能
- 会議は誰でも参加自由
- 社内外ボーダーレス
- オフィスは風水環境科学と都市学に基いて設計
【金銭面】
- 給料は相場で決める(チームでの話し合い)
- 会社の財務情報はすべてオープン(MFクラウド会計で公開)
- 決済の裁量は個人の常識と良心に任せる
文章だけ見ると「本当にこれで成り立つのか?」という驚きの項目が多いです。これらも試行錯誤されたもので,日々アップデートされているそうです。
ちょっと驚いたのが,こういう会社なのに「モチベーション」を扱わないという点です。「それは個人の話であって,組織全体とは何も関係がないから」という理由で,できないものはできないと割り切り,メンバーに対して,成長を促すことはしない。冷たいようにも聞こえますが,成長することが善で,もっとと迫られる組織で働くのも辛いものがあるという前提とのことです。
「モチベーション」を扱わないことで,それぞれが上手く「感情」に囚われない運用ができているのだと感じました。
まとめ
ホラクラシー経営を導入し成功した会社,失敗した会社についてもよく伺います。採用に携わっている立場からみると,ホラクラシーを導入するには社員のレベルも大きく関係するのだと感じます。
利益をあげるために何をするのが最適かを考えられるメンバーを採用・育成しなければ上手くいかないので,結局,裏技のようなものはなく,日々の積み重ねでしかないということを学びました。
書名 | 社長も投票で決める会社をやってみた。 |
著者 | 武井浩三 |
出版社 | WAVE出版 |