『リーダーの仮面 ーー 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法』「いい人」がマネージャーとして適していない理由

書評

今回は書評ということで,『リーダーの仮面 ーー 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法』という本について書いていきたいと思います。

著者は,株式会社識学の代表取締役社長の安藤広大(あんどう・こうだい)さんです。

ご経歴としては,1979年大阪生まれ,早稲田大学卒業,NTTドコモ,ジェイコムの役員を経て独立された方で,「識学」という考え方に感銘を受け「株式会社識学」を2015年に設立し,2019年にはマザーズ上場を果たすなど,とんでもないスピード感で企業を成長させている経営者です。

私自身も,著者の「識学」設立前に概念に触れたことがあり,今回興味深く読ませて頂きました。

どんな人におすすめか

本書は以下の方にとって非常に学びが多いと思います。

  • 中間管理職の方
  • マネジメントで悩みがある方
  • 経営者

識学では「ルールが明確で守られている」「各メンバーの役割と責任が明確である」ということを重視しています。マネジメントに触れる方がよく悩む,「部下が何を考えているかわからない」や「モチベーション高く仕事をしてくれない」など,どう対処して良いかわからない問題への解決策が本書では書かれているので,マネジメントに触れる方におすすめです。

世間で言う「いい人」はマネジャーとして適していない?

識学ではマネジャー(以下,本書の通り「マネジャー」と表記)は「いい人になるのはやめなさい」というメッセージがあります。

「いい人」とは,遅くまで働いている部下を褒めたり,落ち込んだら食事に誘ったり,仕事の細かな点まで面倒を見てプライベートのも相談にも乗っているような方をいいます。

上記のような方は,世間では「良い上司」と思われていますが,識学ではこれを真っ向から否定しています。理由は,部下に対して錯覚を生んでしまうからです。

部下は本来,会社から与えられている業務を行い,求められている結果を出すことが求められます。上記のような「いい人」の振る舞いをしてしまえば,部下は「求められている結果を出さなくても評価されるんだ」という勘違いをしてしまうのです。

例えば,「営業成績が伸びない」と悩む部下と食事に行けば,「がんばってるからもうちょっとでできるよ!」や「今はコロナで不景気だから仕方ない」と答えてしまう方もいるのではないでしょうか? 悩んでいる部下と話すのですから,「慰めるな」というのも難しいと思います。

しかし,このように接すると,「目標は達成しなかったけど不景気だから仕方ない」や「自分なりに頑張っているので,今は目標未達でも良い」と,部下自身が間違った評価基準を持ってしまいます。

あくまで,マネジャーは部下を「与えれられた職務を行わせ成長させる」役割のはずです。しかし,前述の「いい人」となってしまえば,マネジャーの目的とは真逆のことが組織の中で起こってしまうというのが,本書で語られています。

こういった事例をはじめ,本書では,世間で今まで「良いと錯覚されているマネジメント」について記載されているので,気になる方はぜひ読んでみてください。

まとめ

本書は,「自分には合わない」と思われる方も多いですが,「『会社の売上をあげる』という本来の目的を自分が会社の機能して役割を果たせているのか」を考えると,答えが出るかもしれません。

書名 リーダーの仮面
著者 安藤広大
出版社 ダイヤモンド社

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