先日,iPhoneのホーム画面のウィジェットに『「初対面でWeb会議申し込む人」が迷惑すぎる訳』という思わず同意したくなる記事が流れてきました。元記事を読んでみると,書いているのは中島聡さん!
「あれ,(ウェブ上で記事を書くのは)珍しいな,ひょっとすると新著が出たのかな?」と思っていると,思ったとおり『ニュー・エリートの時代』という新刊が発売されていました。
というより,毎週火曜日に発行される中島聡さんのメルマガ『週刊 Life is Beautiful』を楽しみにしているひとりとして,新刊が発売されることすら知らなかったことに驚きました。
(調べてみたら,新刊が出るにもかかわらず一言も触れていませんでした/スゴすぎます…)
中島聡さんのメルマガ,読者の質が良いですよね。
本書は,メルマガに掲載された内容の一部を再編集したものです。そのため,メルマガを購読している方にとっては,すでに知っていることも多いかもしれませんが,目次立てされた本で読むと改めて頭の中が整理できるかと思います(初めて知ることも多くありました)。
中島聡さんのメルマガでは,以前から”ITゼネコン”に対して痛烈な批判をされています。同じように,「ガチャ」のような仕組みで儲ける搾取ビジネスに対しても毅然とした態度を見せます。
僕自身,これらの倫理観を学ぶことが多く,仕事をする上で「どういったことをやらないようにしよう」といった指針にしています。
さて,本書は不安を煽るわけではなく,今後の時代に生き残るには,
- リモートでも効率的にビジネスができる業種・職種を選ぶ
- リモートワークに必須のツールを使いこなす
- 長時間労働や労力ではなく,生産性と結果で勝負する人になる
しかないと指摘しています。
ただ,「ツールを使いこなす」といっても,「Zoom会議をしましょう」というのではない,というところで,冒頭の記事の内容につながります。
いわゆる「文系の営業マン」と呼ばれるような方と仕事をすると,「話した方が早い」と言われることが多いのですが,まさにこれです。非同期コミュニケーションができないというのは,文章が書けない,頭の中が整理されていない,論理的な思考ができていない証拠という心の声を…。
本書では,ニューエリートの共通点として以下をあげています。
- オンライン・ツールを使いこなし生産性が桁違いに高い
- 非同期なコミュニケーション能力が高い
- コアタイムやZoomミーティングなど,時間に束縛されることを極端に嫌う
- 会社との関係は対等もしくはそれ以上
- 「やる価値がある」仕事だけを選んで働く
- オフィスには出勤せず,リゾート地などからリモートから働く
- 時間には束縛されず,仕事の成果のみで勝負する
- 自分なりのライフスタイルを持っている
という項目を見て,「いや,でも」「そうは言っても」と否定から入ったり,「ウチの会社は…」と自分のところは特別だという意見が出る方は,きっとヤ◯コメとかに行った方が良いはず。
中島聡さんは,「当事者意識」に欠ける人について次のように述べています。
元を正せば,思いきった経営戦略の変更ができない経営陣が悪いのです。とはいえ,そんな経営者に逆らいもせず,かつ,会社を辞めることもなく文句ばかり言いながら日々の「つまらない仕事」に追われているエンジニアや中間管理職も,私から見れば同罪です。
自分のしている仕事に言い訳をしたり,「こうやって経済が回っている」など,さもうまいことを言った風になっている人がいたら,今このタイミングで見直すと良いのかもと思います。
読み終わったとき,自分の今後の方向が見えてくる,そんな一冊です。
書名 | ニュー・エリートの時代 ポストコロナ「3つの二極化」を乗り越える |
著者 | 中島聡 |
出版社 | KADOKAWA |