『潜入ルポ amazon帝国』アマゾンを頂点とした人々の思惑が交錯する

書評

僕も毎日のようにAmazonを使っているひとりです。GAFAを担ういちブランドとして好きな企業のひとつではあるのですが,そのアマゾンの裏側を描いたのが『潜入ルポ amazon帝国』です。

著者の横田増生さんは,2005年に発売された前著『アマゾン・ドット・コムの光と影』(文庫版は『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』)に続き,15年ぶり2回目のアマゾン潜入を実行しました。

横田増生さんと言えば,『ユニクロ帝国の光と影』でファーストリテイリングに訴訟を起こされ,柳井正さんの「ユニクロで実際に働いてみてくれ」という発言を受けて,ユニクロに潜入したことでも有名です。日本では珍しいですが,海外では潜入取材というのは多いそうです(本書より)。

普段,アマゾンを使っているけれど内部のことはよくわからない(僕もそうです),注文した翌日に届く仕組みなど,裏側を知りたい方なら間違いなく楽しめる一冊になっています。

本書のみどころはなんといってもアマゾンの内部です。どのようにピッキング作業が行われているのか,商品の並び方や作業員が持つ端末,管理のされかたなどについても生々しく描かれています。

そして,ヨーロッパで同じく潜入取材をするジャーナリストたちの取材(横田増生さんはアメリカの大学院出身),日本のマーケットプレイス業者,フェイクレビュー業者,「0円仕入れ」の情報商材を実際に買うなど「ここまでやるのか」という体の張り具合です(笑)。

情報商材を買った人にも取材をしています。

「マニュアルを売ってくれた人から持ちかけられているんですけど,LINEで知り合ったレビューアーにこのマニュアルを売って,サブセラーに転向しないかと持ちかけようと,というのです。3万円で売れると,マニュアルを作った人には1万円が戻ってきて,残りの2万円は,かかわった人数で割って自分たちの収入にするという話です。マニュアルを売る人が,枝分かれして,どんどん売っていけば,それだけで結構な収入になるんですよ」

たまにスタバなどでも見かけますが,まだこんなことをしている人がいるというのか,信じる人がいるのかという,なかなか闇が深い世界を垣間見た気がします…。

アマゾンという巨大帝国を頂点として,そこでピッキング作業をする人,マーケットプレイスでいつ垢バンされるか不安になりながら出品している人,フェイクレビューをする人,それを情報商材として売りつける人,潜入からさまざまな思惑が見えた気がしました。

書名 潜入ルポ amazon帝国
著者 横田増生
出版社 小学館

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