『売上最小化、利益最大化の法則――利益率29%経営の秘密』徹底して目立たないプロモーションを行う

書評

2021年にビジネス書でとても話題となった「売上最小化,利益最大化の法則――利益率29%経営の秘密」という本を読みました。本書は,東証一部上場企業の株式会社北の達人コーポレーションの代表の方が書いた,自社の儲けの秘密について記載している本です。

木下社長は代表でありながらマーケティングの責任者を兼務しており,自社のマーケティングチームも評価が高い集団です。現場目線も踏まえた本質的な手法が書かれた本書について紹介したいと思います。

売上10倍はリスク10倍でもある

北の達人は,本書のタイトルでもある「売上最小化,利益最大化」を重視した経営を行っています。創業時から利益にこだわった経営を行なっており,東証一部に上場している企業の従業員1人あたり利益が平均約303万円のところ,北の達人は約7.7倍に当たる2,332万円を実現しています。

ネット系企業は,広告費をガンガン投資して赤字を垂れ流し,シェアを獲得してから投資を回収しようと考えるところが多いです。しかし,木下社長はこまめにに利益を回収すべきだと言っています。その理由は,広告を大量に投下して目立つと競合が増えてしまい,回収するときには市場がガラッと変わって,利益を回収できなくなる可能性が高いからといいます。

理由も納得でき,シンプルであるのですが,実際になかなかマネできることではありません。やはり,投資段階で正確な戦略を上げて広告をかけないと,そもそも売上が上がらないという問題も起こるので,かなり練られた戦略を構築する必要があります。

また,「売上を最小化」をあげているのは,どうしても「売上を伸ばす=商品や顧客の増加=想定外のアクシデントも増加」となってしまいます。経営を安定させるには,リスクを下げた運用を行うことが大切だと考えているようで,「売上最小化,利益最大化」という方針を掲げているそうです。

プロモーションは目立たずニッチ市場を狙う

この戦略も上述している通り「競合を増やさない」という戦略を軸に考えられています。

また,目立たないプロモーションはターゲットのみに認知してもらうことを目的とした広告です。そのためターゲット外の人に認知してもらう必要はありません。

北の達人は徹底して目立たないプロモーションを行なっているため,「北の達人」は知っていても,北の達人が提供する「北の快適工房」という健康食品化粧品を知らないことがほとんどだそうです。

事実,私自身も北の達人については知っていましたが,サービスは知りませんでした。ターゲットではない人に知ってもらう必要はないという方針が本当に徹底されているなと感じました。

まとめ

非常に理にかなった経営戦略が語られ,勉強になりました。現代はさまざまな競合他社が現れ,時代も変化していきます。そんな中でも北の達人が行っているように,自社の強みやターゲットを明確にして,利益を重視した経営を行うことで,この変化の激しい時代でも生き抜いていくことができます。私も本書を参考に伸ばしていきたいと強く感じました。

書名 売上最小化、利益最大化の法則――利益率29%経営の秘密
著者 木下 勝寿
出版社 ダイヤモンド社

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