『仕事の未来×組織の未来 新しいワークOSが個人の能力を100%引き出す』

書評

最近,「フリーランス」や「フルリモートワーク」「副業推奨」など私たちを取り囲む労働環境が大きく変わってきています。そこで今回は,『仕事の未来×組織の未来 新しいワークOSが個人の能力を100%引き出す』を読んだので共有させていただきます。

どんな人に向いている本か?

本書は以下のような方に向いている本です。

  • 経営者
  • 人事担当者
  • 新しい働き方をしていきたいと考えている方

経営者や人事担当の方は,働き方の変化には気づいておく必要があるので,読んでみると良いと思います。また新しい働き方をしていきたいと思っている方も,今後どのように世の中が変化していき,自分はどう立ち回っていくべきかということを理解するために読むと良いでしょう。

仕事や役割を固定する伝統的なシステムの限界

本書では,現在の労働環境は職務という役割から仕事が振られている状態だと言っています。しかし,今後は,役割で振られた仕事の内容を見直し,プロジェクトベースでの業務に切り分けていくことが大切だと語っています。つまり,今までは営業は営業部,採用は人事部だけが行うことが大半でしたが,プロジェクトでタスクを切り分けたときには,採用を行うのもプロジェクト担当の誰かが行うのが適当で,必ずしも役割を明確に分ける必要はないということです。

また,それは正社員に限る必要もないというのが語られています。すべて正社員でなくてもフリーランスや副業人材でまかなえるのであれば,それで良いし,AIなどシステムが得意な仕事をしていく時代がやってきたときはシステムを導入すればよく,社員を登用する必要性はありません。

今までの伝統的な職務体型では,仕事は職務として記述され,それを行うのは雇用契約を結んだ従業員に限定されていました。そこでは,仕事は担当する職務・職位・職務要件によって語られていました。

しかし,仕事の進め方の選択肢が増える中で,このように仕事や役割を固定する古い考え方では,多様な働き方も,人間と自動化の最適な組み合わせも見えなくなってしまうと本書では語られています。つまり,日本が強みとしていた終身雇用や新卒一括採用のシステムも今後の時代では,より時代遅れとなってしまう可能性が出てきたということです。

今後,正社員はおすすめできないのか?

本書のような本を読んでいると,「正社員はもう旨みがないのか?」と考えてしまう人も多いでしょう。しかし,本書で語られているのは,そういうことではありません。あくまで雇用形態にかかわらずそのタスクを遂行するのに適した人がいるなら,その人に任せるべきだというだけです。それが,正社員の方であれば,正社員に任せるので立場が弱くなることはないでしょう。

また,労働基準法で,日本の労働者は固く保証されています。ここ10年程度でこの立場が奪われていくというのは考えづらいでしょう。

まとめ

今回は「仕事の未来×組織の未来 新しいワークOSが個人の能力を100%引き出す」を紹介しました。今後,時代が進むにつれ組織のあり方や働き方はどんどん変わっていきます。変化に対応できるように日々仕事にはげんでおくと,良いでしょう。

書名 仕事の未来×組織の未来
著者 ラヴィン・ジェスターサン
ジョン・W・ブードロー
出版社 ダイヤモンド社

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