就職エージェントなどの就職支援サービスを受ける中で,「自分も人材業界会社で働きたい!」という方もいらっしゃるかと思います。そこで,今回は,「新卒で人材紹介会社に入りたい!」という方向けに解説したいと思います。私も普段行っている仕事なので,現場目線で記載していきます。
人材業界で働くために必要なスキル
新卒時に求められるスキルはない
まず,みなさんが気になる「必要となるスキルや求められる水準」について回答していきます。
大前提,新卒の方は「特定のスキル」が求められることはありません。
実は裏の採用条件で「〇〇の経験がほしい」ということは基本的にないです。仮にあったとしても,「そんなスキルのある新卒が存在するのであればぜひ採用したい」というレベルの話で,採用する側も新卒にスキルを求めても意味がないことは理解しているのでご安心ください。
学歴
続いて,学歴についてです。正直にお伝えすると,「学歴フィルター」はまだ存在します。採用担当者はどうしても短期間で大量の学生を見なければいけないので,学歴フィルターは書類選考の段階までは効率的に学生を判断する水準としては今後も残り続けるでしょう。
では,「人材業界に学歴フィルターはあるか?」という問いに関しては,基本的には「ない」,またはあっても「ゆるい」と思ってください。一部,業務効率化で書類選考時にフィルターを用いている企業もありますが,あっても「日東駒専以上」と比較的ゆるめです。
人材業界は,比較的短期スパンでの営業要素が強い(データ解析や改善などが求められるわけではない)ので,変に頭を使って考えるよりも,良くも悪くもあまり迷わずに動ける人の方がパフォーマンスを上げやすい傾向があります。
この素地は特に学歴別に傾向があるわけではないので,フィルターを設ける必要がないという理由になります。
企業側の採用目線も考えることが大切
新卒として人材紹介会社に入るスキルや水準をまとめると,「スキルは特段求めない」「良い意味でも悪い意味でも即行動が起こせる前向きな方」となります。
ただ,一点注意をしておくと,よく「困った人を支援したい」という理由のみで人材紹介会社を希望される方がいますが,この理由は危険です。
なぜなら,営業職で数字が求められることと,企業はコストをかけて採用するので,「困った人を助けたい」だけだと,企業にメリットを提示できないからです。あくまで「顧客企業・求職者・自社」の三方よしを求めるビジネスなので,企業側の採用目線を考えることも忘れないようにしましょう。
人材業界における年齢別のキャリアについて
続いて,入社後の働き方について,年齢別に触れていきます。
22歳〜26歳くらいまで
主に,法人企業の開拓とキャリアアドバイザーのどちらかの営業現場の仕事を行います。
人材紹介会社によって,「法人営業」と「キャリアアドバイザー」両方やる会社もあれば,片方だけをやる会社もあります。どちらも共通ですが,入社後は営業現場を担当します。
人材紹介業は比較的短期で売上が上がるビジネスモデルなので,急に同期が成約を上げたりしますが,焦らないでください。安定的に狙い通り成果を出せるようになるには1年間は必要です。
1年で結果を出せている場合も「会社の仕組み」のおかげです。焦らず目の前の顧客に向き合いましょう。この段階では,「個人の営業目標を達成すること」がミッションになります。
26歳〜29歳まで
この年代からはプレイングマネージャーになります。自分自身の営業数字も追いながら,後輩数名の教育も実施するという形です。順当に個人の数字を出せば良いという状態から離れる時期です。個人の数字は当たり前,後輩の達成も目標に加わるというのがプレイングマネージャーのミッションです。
人材紹介業は,求職者も企業も生きている人間の細かな調整が必要なマッチング業務です。属人性が高い業務になるので,大枠の会社が提供する仕組みはあれど,個別の調整は必要です。
自分のノウハウと後輩のやり方を合わせて成果が出るように導くのが必要になるので,さまざまな苦労や喜びを感じる時期です。根気強く頑張りましょう。
この時期は,「後輩の教育」というのを理由に,個人の数字が下がる方が発生します。あくまで個人の数字は当たり前に達成しないといけないという考えを持ちましょう。
30歳以降
ここからは大きく別れます。
- 事業部の責任者やマネジメント特化
- 職人プレイヤーとして圧倒的に成果を上げる
- 独立
まず,「事業部の責任者やマネジメント特化」ですが,このキャリアが王道で希望者もいちばん多いのではないでしょうか。プレイヤーを完全に離れ,会社の仕組みづくりや事業部全体をどう伸ばすかをいうところに注力していきます。自身の直属の部下はプレイングマネージャーになるので,彼らの数字を落とさず,新人が早期戦略化する仕組みを作ることがミッションになります。
続いて,「職人プレイヤーとして圧倒的に成果を上げる」について,人材紹介ではこの生き方を好む方がいます。本当に職人で仕組み関係なく,個人の才覚で数字を上げ続ける方がたまにいます。総じてマネジメントに興味がない,もしくはあまり上手くない方が多いです。
会社にとって,こういった方は非常に貴重な存在なので,プレイヤーのみを任せます。「事業」ではなく「人材紹介」を掘り下げたいと感じる方に向いています。
「独立」については,「職人プレイヤー」と似ています。会社に所属してプレイヤーをやるか,個人で人材紹介をやっていくかの違いです。人材紹介業界は10名以下の企業が多く,こういった職人プレイヤーの独立が目立つ業界です。利益率も非常に高いので,満足のいく生活を送っている方も多いです。
人材業界で働くときに「資格」は必要か
資格について,有名なもので国家資格の「キャリアコンサルタント」があります。
結論からいうと,必須ではないです。
理由は,弁護士や公認会計士と違い「独占業務」ではないからです。
つまり,資格がない方もある方も何ら変わらず業務ができます。
制限を受けるとすれば,「キャリアコンサルタント」や「キャリアアドバイザー」を名乗れないだけですが,これらは名刺の肩書にすぎないので,業務に支障はありません。
「有資格者の方が安心できる!」という方も稀にいますが,この資格は「人材紹介業」直結の仕事ではなく「キャリアコンサルタント(※大学の学生課にいる相談員が近い)」の手法や一部労務を学ぶ資格なので,活かせる点はあるのですが直結ではないです。
「キャリアコンサルタントの資格があると人材紹介会社に入社しやすくなるのか?」という質問も多いですが,関係ないという認識でいると良いでしょう。
人材業界からの転職
続いて,転職についてです。
人材業界は転職をしていく方は多い業界です。
比較的ハードワークで若い方が適正のある仕事だからです。
また,あくまで営業職がメインでもあったりします。そのため,「業務に疲れた」という理由から,異なる業界や管理部門に転職する方も多くいます。当然,すべてがマイナスな理由ではないのですが,転職される方は多く,転職先は営業職や採用人事のポジションになることが多い傾向があります。
まとめ
今回は,新卒で人材紹介会社に入社したいという方のために解説をしました。私自身,人材業界は非常に好きな業界なので,新しく興味を持ってくれる若い方がいるのは非常に嬉しいです。ただ,ギャップが多いのもこの業界の特徴です。
現実面も見ながら「自分に合いそうかどうか」を検討してみてください。これは人材業界に限らず,他の業界においても共通することです。いろいろな情報を集めるところからはじめてみましょう。
(転載元:New Mage)