会社を立ち上げて,営業マンが10名を超えた段階で起こってくるのが,営業マンの標準化です。最初は立ち上げメンバーで営業を行うので,ノウハウの共有化をしなくても各々で売れるケースが多いのですが,人数が増えてくるとそうはいきません。
今回は,各社が一度は悩む営業マンのスキル標準化について解説させて頂きます。
営業ノウハウの可視化が必要なタイミングとは
営業力を標準化するには,売れている営業のノウハウの可視化が必要となります。営業担当者一人ひとりの受注率にバラつきをなくし,組織の営業を標準化することで,効率的に営業をすることができるからです。そこで,どんなタイミングで営業の標準化を検討すべきなのかをスタートアップ企業の営業組織の規模拡大を例にして紹介します。
創業時
社長や役員などの創業メンバーが,「これは売れる!」と自信満々で商材を世に送り出します。自分たちが作り出したものなので,創業メンバーはどんなトークでどんな顧客に売っていくのか充分に理解できています。売上も伸び,会社の経営も安定してきたところで,第2創業メンバーを採用します。
第2創業メンバー入社後
第2創業メンバーは,創業メンバーの背中を見ながら営業力を高めていきます。第2創業メンバーが営業マネージャーとして育った頃,営業スタッフの採用を開始することが多いです。この頃には,創業メンバーは第2創業メンバーに営業現場を任せて,経営やマネジメントなどに費やす時間が増えます。
そして,「創業メンバーが営業現場から離れる」タイミングこそが,まさに「営業を標準化する」タイミングです。創業メンバーの営業のノウハウをしっかりと可視化・仕組化することにより,拡大していく営業組織に比例して営業力も強化していくことができるので,ここでの標準化を目指しましょう。
■営業ノウハウの浸透化をするには?
具体的にどのように営業ノウハウを標準化させ,浸透させるかについてご紹介していきます。
営業資料の統一
トップ営業は,商談の際の資料にも気を配っています。商談で商材についてのパンフレットや製品紹介の資料のみを提供しているわけではなく,顧客や商材に合わせてさまざまな資料を用意しており,適切なタイミングで提供することによって,顧客が本当に知りたい情報を与え購買意欲を促します。
このような営業資料は,トップ営業自身で作成している場合も多く,まだ自社内でも知られていないということが多くあります。そのため,トップ営業の商談に同行し,資料やそれを出すタイミング,事例などを明文化していくことが重要となります。
SFA(営業管理システム)導入による営業ノウハウの共有
案件の進捗管理や売上の予実管理に使われるというイメージの強いSFA(営業管理システム)ですが,実は営業ノウハウの共有にも適しています。トップ営業がどのような営業プロセスで受注に繋げているのか,商談ではどのようなことを話してどのようなことをヒアリングしているのか,どんなメールや電話でアプローチしているのかなどの情報が,SFA上で見ることができるようになるからです。
また,トップ営業の商談内容や営業フローのノウハウをSFAに蓄積しておけば,新人営業が入った際にもマニュアル代わりに使うことができますし,その営業担当者が退職や異動になった場合にもノウハウがなくなることがありません。
さらに,SFA上で個々の営業実績を分析することができるので,トップ営業のデータを基準に他のメンバーのデータを分析することで,課題発見と改善策立案が簡単にできるようになります。
まとめ
今回は営業ノウハウの標準化について記載しました。営業ノウハウを資産として活用したいと考えていてもなかなか進んでいない会社も多くあります。営業ノウハウの標準化は,早ければ早いほどノウハウを共有する文化を作りやすくもなるので,早めに取り組んでみましょう。