『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』キャバクラで働く,援助交際をしながら生活する女性たちの取材記録

書評

裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』は,沖縄の夜の街で生きる女性を描いた作品です。どのような人が,どのように夜の街で働き,どのように人生を進んでいくかが生々しく描かれます。

沖縄が好きな男性なら,一度は歓楽街(那覇なら「松山」など)に足を運んだことがあると思います。そこで働く女性たちはどのような境遇があるのか,そんなものを少し垣間見ることができます。

 

本書は,上間陽子さん(琉球大学教育学部研究科教授)が,夜の街(キャバクラや援助交際)で生きる女性を取材した記録をまとめたものです(男性の僕から見てもかなり生々しい記述があります)。

 

本書と同じく,沖縄の闇を描いた『ヤンキーと地元』(打越正行さん著作)という本があります。ノンフィクションライターの藤井誠二さんが「上間陽子の『裸足で逃げる』と対になる作品だ。」と表すことからわかるように,両書は同じ闇を男性サイドと女性サイドから描いています。

 

本書のまえがきには次のようにあります。

風俗業界に出入りする調査は,打越正行さんとでなければできないと思った。

打越正行さんは,『ヤンキーと地元』の取材にあたり,沖縄の暴走族と一緒に国道58号線を走るというような方です(笑)。そんな彼も本書で取材に同伴しているのも,興味深いポイントのひとつです。

 

暴力は循環し,世代を超えて連鎖する。

沖縄と貧困は切っても切れない関係です。何が根源なのかなと思っても遡るときりがないようにも感じます(1609年の琉球侵攻でしょうか)。ただ,わかるのは,親に暴力をふるわれ,家に居場所がなくなった彼らは夜の世界に入り,男も女も方向は違えど,危険な仕事に手を染めていきます。

著者である上間陽子さんは沖縄出身の方です(米軍基地のあるところだそうです)。15際のとき,暴力を孕んでいる地元を捨て,そして,沖縄に帰ってきました。

 

僕も沖縄に滞在することが多いひとりとして,見えにくい面は衝撃を受けました。沖縄の「夜の街」に関わるときは,「お金さえ払えばなんとかなる」といった態度は慎み,自分と同じひとりの人間として関わる,これはとても大切なことだと思っています。

(転載元:おきこも

 

書名 裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち
著者 上間陽子
出版社 太田出版

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