『こうして社員はやる気を失っていく』社員を活躍させるのも経営者の仕事

書評

今回は『こうして社員は,やる気を失っていく』という本の紹介をします。最近,私も採用代行業を行う中で,いろいろな企業の中に入り込んでいくことが多くなりました。そこで,採用活動の中でも普段働いている社員の方を見ても,やる気がある方とない方がいるのに気づきます。本書は「いつやる気を失ってしまうんだろう?」と思って手にとりました。

モチベーションをあげる施策をとるのは効果が少ない

いろんな企業でもよく聞くのが「モチベーションや結束を高めるために,イベントを開催しました!」というものです。本書では,このような施策は効果が出づらいといいます。私もよくこの事例をみますが,元々モチベーションが高くない方はイベント参加も面倒くさいと感じていますし,それに伴い業務時間外の業務が増えてしまうと意味がなくなってしまいます。

本書では,このようなモチベーションを上げる施策ではなく,モチベーションを阻害する要素を排除して行く方が効果的とのことでした。たとえば,イベントへの参加を必須にしないことやITツールを用いて意味のない出社を減らしたり業務効率を改善するだけで離職率は低下するとのことです。

基本的に過度の業務を押しつけず,適正な給与を支払っていれば,人間はそこまで気分が落ちることはありません。下がっている事実があるのであれば,自社の社員が何か不満を抱えていないか,自社で解決できることはないか探ってみましょう。

やる気は個人の問題でなく,会社の問題と捉える

「やる気がない社員を相手に環境改善するのはいやだ!」や「やる気がないのは個人の問題でしょ」と感じる方も多いと思います。しかし,このように考えていては,なかなか自社の環境が改善されません。一般的に考えると,やる気のある社員さんの方が少数の会社が多いと思いますし,その方々は何か特別面倒を見てあげなくてもパフォーマンスは上がり続けます。

やはり会社を安定的に経営していくには,やる気がない社員も適切にパフォーマンスを上げてもらう必要があります。この話をすると「自分は会社のことを考えて,雇用も守り給与も支払っているのに…」と落胆する経営者の方も多くいらっしゃいます。

気持ちは非常にわかるのですが,社員がやる気のなくなっている原因を探らないと,今後入社してくる社員もやる気を失ってしまう可能性が高くなってしまいます。自分の会社の雰囲気が少しでもおかしいと感じたら,早いタイミングで社員の様子や何か問題が起きていないか探り解決しましょう。

まとめ

今回は「こうして社員は,やる気を失っていく」をご紹介しました。「仕事にモチベーションを求めるな!」という声もわかりますが,多くの社員はモチベーションに左右されて働いています。彼らを活躍させるのも経営者の仕事ではあるので,一度自社の環境など見直してみてください。

書名 こうして社員はやる気を失っていく
著者 松岡 保昌
出版社 日本実業出版社

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