『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』シーサー,サーターアンダギー,沖縄ネタが豊富で楽しめる

書評

東京から沖縄の学校に転校してきた主人公・中村照明は,クラスメートの喜屋武ひなのことが好き。けれど,彼女の方言がわからなくて違う意味で上手く話せない(コミュニケーションがとれない)という,ラブコメといえばラブコメなのですが,随所に散りばめられている沖縄愛がすごい作品です。

もう,あれです。沖縄に行きたくなって仕方ありません。1巻を読んだあと,すぐに航空券を見て(この記事を執筆現在,非常事態宣言中なので少し先の予定を見る),Uber Eatsで沖縄料理のお店をチェックするといった始末です(配達だと沖縄そば1杯1200円もするのか…)。

 

前述のように,本作,『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』は,ラブコメを主体にしながらも(むしろラブコメはおまけに感じるくらいです),随所に散りばめられている沖縄ネタが素敵です。しかも,本土からちょっと沖縄を知ったくらいの人にちょうど良い具合です。

もちろん,「うちなータイム」といった誰もが知るものもありますが,ユタ(シャーマン)の「マブイグミ」,パックリ割れるサーターアンダギーなど,ちょうど良い具合に深いのが楽しめます。ちなみにシャーマンについては,沖縄県立博物館でも深く知ることができます。

 

沖縄のおじいおばあは「サヨナラ」とはあんまり言わんさー

それは沖縄にいれば いつかまた会えるよーという気持ちがあるんだはず

沖縄はせまいという意味もあるそうですが,なんだジーンとする「うちなーゆくい話」でした。

 

そして,当然のごとく「シーサー」も題材として出てきます。右シーサーは口を開けてマジムン(魔物)を捕まえて家に入らないようにする,左シーサーは口を結んで福を外へ出さないといった豆知識も面白かったです。

沖縄の方がいう「シーサー顔」というのは,美人ではないという意味だそうです。どうりで沖縄の方が「シーサー顔」という表現をすると思ったら,そういう表現があるんですね(笑)。僕は可愛らしい顔なのかなと思っていたのですが…(褒め言葉にはならないみたいですので要注意です)。

 

本書の著者は空えぐみさん。あとがきを見ると「沖縄に住んで2年」とあります。沖縄に移住した(?)経験を元にできた本作,沖縄好きの方ならきっと楽しめるはずです。

ちなみに本作は,全2巻。

1巻はKindle Unlimitedで読んだのですが,2巻目はまだ読んでいない…(読まないと)。

書名 沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる
著者 空えぐみ
出版社 新潮社

特集記事

TOP
CLOSE