『シン・営業力』ギバーであり続けることの大切さ

書評

今回は営業についての本を久しぶりに読んでみようと思い,『シン・営業力』という本を読んだので,共有したいと思います。本書は,元キーエンスのトップセールスである天野眞也さんが,キーエンス時代の経験や各社への営業コンサルなどを通じて培った営業メソッドやマインドを伝授しています。

コミュニケーション力,話上手・下手に関係なく,「営業しなくてもお客様から選ばれてしまう営業」=「営業しない営業」になれる極意を詰め込んだ「営業の教科書」と呼べるものになっています。「真の営業力」を身につけるには,どうすれば良いか紹介させていただきます。

どんな人が読むと良いか

本書ですが,以下の方にはおすすめできます。

  • 営業2, 3年目の方でさらに営業力を高めていきたい方
  • 営業未経験の部下を育成しようとしている方
  • 今一度営業について見直してみたいと考えている方

営業の中級者やこれから誰かに営業を教えていこうとしている方に向いていると思います。改めて営業の基礎的な部分から書かれていますし,昨今の商材は「売って終わり」ではなく「サブスク型で売ってからが本番」という商材が増えました。そういった時代の移り変わりにも対応しています。

ギバーの営業であり続けよう

著者は本書で,営業はギバーであり続ける必要があると語っています。つまり,自分自身が利益を得てばかりでなく,お客さんに情報でもなんでも良いので価値あるものを提供していく必要があるとのことです。その結果,著者も大型案件が急に出てきたりメリットがたくさんあったようです。

また,もし契約に至らなかったとしても,お客様の利益のためにさまざまな情報提供や提案に費やした時間を「無駄だった」と感じたことがなかったそうです。なぜなら,お客様から強いられたことではなく,自分がした選択だから引きずることもなく営業活動を続けられたようでした。

これは私自身も実感がありますが,自分だけが主体となって動いた案件というのはトラブルや思い通りにならないことが多発しますし,商談自体もあまりワクワクしません。しかし,お客さんの利益を主体と置いて動く案件は不思議と前に進んで,最終的に良い着地になることが多いです。本書を読んでみて改めて何となく実感していたことは本当だったんだなと感じました。

口下手な人=営業ができない人」ではない

「話がうまい人=営業がうまい人」ではないと本書では語られています。

キーエンス時代の著者の部下に,口下手ながらも実直さを取り柄に大きな数字を作り上げた若手社員がいたようで,著者は彼を大企業の超重要案件の営業担当者に抜擢したそうです。社内の人たちからすると驚きの指名だったようですが,著者は彼の「実直さ」はお客様に寄り添うという意味では大きな武器であり,お客様からは信頼されるだろうと信じていたそうです。この決断は当たり,彼はお客様に向き合い寄り添うことで,みるみる信頼を勝ちとっていったとのことでした。

彼がお客様からの信頼を勝ち得たのは,彼が「お客様の話を聴ける人」だったからだそうです。彼は自分が口下手であることを自覚していたため,お客様の話を聴くことを大事にしていたようです。上司の著者から見ても,彼の「聴きにいく」という行動の徹底ぶりは凄まじいものだったようです。

営業は「話がうまい人」「人と話すのが好きな人」が適職と思われがちですが,口下手営業でもお客様に向き合い,しっかりと耳を傾けることができるなら適職といえます。むしろ,話すのが得意な人で,営業としての成果が出ずに悩んでいるなら,うまく話そうとするよりも,まずは聴くことを意識していくと良いだろうと語られています。

まとめ

今回は『シン・営業力』を紹介させていただきました。営業はあくまでギバーであり続けることが大切で,顧客に寄り添うことが何より大切だと再度実感しました。みなさんも一度本書を手にとってみて自分自身の営業を見直してみてはいかがでしょうか。

書名 シン・営業力
著者 天野 眞也
出版社 クロスメディア・パブリッシング

特集記事

TOP